焼津市、藤枝市、静岡市等の静岡県中部の税理士、公認会計士|かたかわ会計
目次
海外渡航費の処理
会社の役員・従業員が海外出張する際の海外渡航費について、業務上必要な海外渡航であり、通常必要と認められる金額であれば会社の経費として認められています。
業務上必要かどうかについては、旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間などを勘案して判断することになりますが、原則的に下記のような旅行は、業務上必要な海外渡航に該当しません。
- 観光渡航の許可を得て行う旅行
- 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
- 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの
同業者団体等が主催する海外視察旅行
主として観光目的ではないが、同業者団体等が主催して実施する海外視察に併せて、しばし観光が行われる場合が見受けられます。このような場合は、どれくらい業務に従事したのか、その割合に応じて旅費を処理することとなります。
視察か観光か移動か休日か
日中の業務時間(概ね8時間)を1.0日として、業務時間を何に充てたのか?
視察なのか、観光したのか、移動していたのか、休日だったのか?これを視察等、観光、旅行日、その他に区分し、概ね0.25日を単位として集計します。具体的には下記のように例示されています。
視察等の日数
- 工場、店舗等の視察、見学又は訪問
- 展示会、見本市等への参加又は見学
- 市場、流通機構等の調査研究等
- 国際会議への出席
- 海外セミナーへの参加
- 同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談
観光の日数
- 自由行動時間での私的な外出
- 観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問
- ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの
旅行日の日数
- 原則として目的地までの往復及び移動に要した日数など
その他の日数
- 土曜日又は日曜日等の休日の日数など
業務従事割合と損金等算入割合
上の集計を基礎に、どれくらい視察に要したかを計算した割合が業務従事割合となります。
$$業務従事割合=\frac{「視察等の業務に従事したと認められる日数」}{「視察等の業務に従事したと認められる日数」+「観光を行ったと認められる日数」}$$
更に上で計算した、業務従事割合を10%単位で区分した割合が損金等算入割合(10%未満は四捨五入)となります。
損金の額又は必要経費の額
上述の損金算入割合に応じて、最終的に損金又は必要経費として処理する金額は下記のとおりとなります。
損金等算入割合が90%以上の場合
全額旅費として損金又は必要経費として処理する
損金等算入割合が10%以下の場合
全額旅費として損金又は必要経費として処理しない
業務遂行上直接必要であると認められる場合
「その他の費用の額」×「損金等算入割合」+「往復の交通費の額」 但し「業務従事割合」が50%以上の場合に限る。
参考資料
平12.10.11課法2-15 海外渡航費の取扱いについて(法令解釈通達)
法人税基本通達9-7-6(海外渡航費)
法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注) その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。
法人税基本通達9-7-7(業務の遂行上必要な海外渡航の判定)
法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとする。
(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行
(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの